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Sayaca 

 

Cada vez que me recuerdes  (私を思い出してくれる度に)                 詩:Jose María Contursi  (ホセ・マリア・コントゥルシィ) 

 

 

まだあなたの心が 私のものだった頃

あなたの心に忍び込んだ 灰色の亡霊が

少しずつあなたを包み込んで

少しずつあなたは 私から離れていった

あなたが去ってしまった時の悲しみは

二人が出会った時の愛より大きいはず

悲しい鐘の音が

私の孤独の中に響き渡る

 

あなたが私を思い出してくれる度に

夜が優しく私にそのことを告げるでしょう

空と海が見えなくなるところで

満点の星が 私に輝きを与えてくれる

あなたが私を思い出してくれる度に

その想いが私にくちづけしてくれるでしょう

いつかあなたが人生の終わりを迎えるとき

あなたは過去を振り返り 私を感じることでしょう

 

哀れな私の心は 

あなたの後を追って ずたずたになってしまった

そして私のこわばった手の中で

希望は死んでいった

もし許せないことがあるとするならば

それはあなたが何も気にせず置き忘れていったもの

私の存在全てを包み込む 

あなただけにしかないもの

あなただけの何か

 

 

 

 

Cuando tú no estás(あなたがいないとき)

 詩:  Alfredo Le Pera y Mario Batistella

(アルフレド・レ・ペラ 、マリオ・バティステージャ)

 

 

たったひとりで 運に身を任せて

あなたの眼差しに見守られないでいると

私は 旅の途中で 歌を忘れた鳥のようになる

 

あなたがいないと 花は香りを失って

あなたが行ってしまうと 私は霧に閉ざされて

渡り鳥も泉も星たちも 私にはつまらなくなる

 

あなたがいないと 希望はなくなって

あなたが行ってしまうと 私の夢は消える

私の嘆きを聞いて 風に打ち明けるから

あなたがいないと 嘆くことばかり

 

あなたがいるから 輝く夜明けが来て

晴れた朝と 美しいバラ園と

星は光り 泉は唄う 人生は笑いに満ちる

 

 

 

 

De barro  (デ・バロ)

 詩: Homero Manzi (オメロ・マンシ)

 

 

水溜りに映る 僕の人生を思う

時は過ぎ去り

夢は枯れてしまった

 

泥でできた鏡に、君の愛しい瞳が映る

煙草の煙の幻影なのか

非難があれば忘却があり

罪があれば許しがある

 

はるか彼方から君の瞳が

あの日の嘆きと共に 浮かんでくる

考えてみれば 僕は君に全ての罪をおしつけていた

君に連絡もしないで後も追わず、

ただ面白がって笑っていたんだ

 

僕の人生なんて 煙草と同じで何の価値もない

今やっと気づいたんだ

全ては恨みと泥でできた、

うそっぱちなんだと

 

君の涙を理解するのに

だいぶ時間がかかってしまった

煙草の煙の中に

君の清らかな姿を探して

浮かんできたものは 道に迷う君の姿

全ては泥でできている、うそっぱちなのさ

僕の人生も

僕の愛も

 

 

 

 

El choclo(エル・チョクロ)

 詩 : Enrique Santos Discépolo(エンリケ・サントス・ディセポロ)

 

 

嘲笑(からか)うような 不良っぽい このタンゴが

俺が住む場末の町から 飛び出そうとする野心に

2枚の羽を付けてくれた 

タンゴってものは このタンゴから生まれたのだ

叫ぶように この汚ない場末の泥濘(ぬかるみ)から 

空の高みを求めて 飛び立った

愛をリズムに変えた 不思議な呪文が

ひたすら希望だけにすがって 道を開いてくれた

怒りと 苦しみと 信仰と不在の混じり合いが

ふざけたリズムの 無邪気さの中で泣きながら

 

タンゴよ お前の禍々(まがまが)しい調子が奇跡となって

それとは知らずに 娘も女も生まれて来たのだ

水溜まりの月 腰を揺らしたカンジェンゲの踊り

愛し方には 激しい渇望(かわき) 

 

なあタンゴよ お前を呼ぶと

踊りで敷石が揺れるのが判る

昔の俺の繰りごとが聞こえる

今はもうお袋は居ないけれど

俺に唇(くち)付けをしに爪先歩きで

来て呉れそうな気持ちになる

バンドネオンの音色に合わせ

お前の歌が生まれる時に

 

カランカンフンファ*は             

タンゴの旗を掲げて海に向かった

そしてペルノーの中で           

パリとプエンテ・アルシーナをかき混ぜた

タンゴよ お前は女たらしや娼婦の従兄弟      

その上 金持ち気どりの男や 金が目当ての娘の仲間

お前のために タンゴよ 気取り屋も タレこみ屋も

仕事もしないあぶれ者も 貧乏人も

お前の運命と一緒に 産声を上げた

安アパートで 俺の心で燃え盛った

割烹着の女と 安酒と 刃物の傷と

ナイフのミサ

 

*タンゴの下町風の踊り それを上手く踊る人を指すあだ名

 

 

邦訳:大澤 寛

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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